肩の力を抜いたつもりでも、しばらくすると、また力が入っている気がする。
そんなとき、「もっと上手にリラックスしなければ」と、
力を抜くことまで頑張ってしまうことはありませんか。
一方で、その日の暮らしには、
「すぐ返事をする」
「間違えずに終わらせる」
「誰かを待たせない」という要求が続いているかもしれません。
体には「力を抜いて」と言いながら、暮らしでは力を入れ続けていることもある。
これは、肩のつらさを我慢や性格のせいにする説明ではありません。
身体の状態だけを直そうとする前に、
今、生活の中で何を求められているかも、別に確認してみようという提案です。
身体の「緊張」と、気を張ることは同じ測定ではない
「緊張している」という言葉は、二つの意味で使われます。
一つは、肩が上がっている、握る手に力が入っているなど、
身体についての感覚や様子です。
研究では、筋肉が働くときの電気的な活動を「筋電図」で測ることもあります。
もう一つは、失敗できない、急がなくてはならないと感じるような、心理的な負担です。
生活上の要求には、締め切り、作業量、連絡への対応なども含まれます。
これらが重なる場面はあります。
しかし、肩の硬さを触っただけで、本人がどれほど我慢しているかや、
本当は何を嫌がっているかが分かるわけではありません。
整体・リンパケアを行う私は、
身体から受け取った印象を、ご本人の暮らしや気持ちの答えにしないこと
を大切にしています。
身体の感じ方は確認し、ご本人がどう過ごし、何を負担と感じているかは別に伺う。
その二つを、最初から一つの原因にまとめないためです。
研究で分かるのは、どの場面の何か
ストレスと筋活動の関係は、コンピューター作業などの実験で調べられています。
2013年のシステマティックレビューは、一定の基準で研究を集めて検討したものです。
25研究を報告した28論文を対象にし、そのうち19論文のデータを統合しました。
実験で作業速度や正確さなどの要求を高めると、
首・肩や前腕(肘から手首の間)の筋活動が増える傾向が示されました。
ただし、統合結果の根拠は実験室の研究で、現実の生活へそのまま当てはめられるとは限りません。研究本文:Eijckelhofら、2013年
個別の結果は一様ではありません。
女性12人のキー入力作業を調べた研究では、
認知的・情動的な負荷(考える作業の難しさや気持ちへの負担)を追加しても、
僧帽筋という首から肩・背中に広がる筋肉の活動は増えませんでした。
研究抄録:Blangstedら、2004年
研究で測った筋活動、本人が感じる「こり」、慢性的な痛みは、同じものではありません。
これらの資料だけで、「我慢が肩こりを起こす」「本音を言えば治る」とは言えません。
だから、生活の負担を振り返るときにも、
症状の原因を決める作業にはしないことが大切です。
身体の欄と、暮らしの欄を別々に書く
例えば、地域の行事の案内を、パソコンで作っていた日のことを考えます。
次の表は、説明用の仮の記入例です。実際のお客様の記録ではありません。
| 身体について、その場で分かったこと | 暮らし・作業について分かったこと |
|---|---|
| 右の肩が上がっていることに気づいた | 案内の締め切りが今日だった |
| 画面を見ながら、しばらく同じ姿勢だった | 作業中に修正の連絡が3回届いた |
| 作業を終えた後も肩の重さが気になった | どこまで直せば完成なのかが決まっていなかった |
ここで書いていないのは、「連絡が来たから肩が重くなった」という原因の結論です。
二つの欄に同時に書けたとしても、それだけでは因果関係は分かりません。
身体は身体の言葉で、暮らしは暮らしの出来事として記す。そのうえで、両方を見る。
すると、「私がうまく力を抜けない」という評価だけでなく、
姿勢が続いていたことと、完成条件が決まっていなかったことを、
別の確認事項として持てます。
これは病名を探すための記録でも、
身体の反応から隠れた感情を読み取る方法でもありません。
同じ日に起きたことを、すぐ原因にしない
忙しかった日に肩がつらかった。それなら、忙しさが原因だったのでしょうか。
一日の記録だけでは、そう決められません。
気持ちに余裕がある日でも身体がつらいことはありますし、
気がかりがある日に身体の変化を感じないこともあります。
書くときは、「原因は」「だから」より、
まず「そのとき」「同じ日に」という言葉でつなぎます。
「修正の連絡が続いた。そのとき、肩が上がっていることに気づいた」
ここまでなら、観察したことを残せます。
反対に、気がかりが見つからなかった場合、無理に心の理由を探さなくて構いません。
身体のつらさを、本人がまだ気づいていない本音の証拠にはしません。
疲れを一つの理由で決めない見方は、
回復を一つの原因で説明しない記事でも整理しています。
身体の対応と、作業の相談を別々に考える
先ほどの例なら、身体については、
同じ姿勢が続いていなかったか、作業をいったん止める必要はないかを確認します。
痛みがあるのに、無理に動かして確かめる必要はありません。
作業については、どこまで仕上げればよいか、
追加の修正をいつまで受けるか、連絡をまとめられるかを確認できます。
作業の問題が片づけば、身体も必ず楽になるという意味ではありません。
身体のケアと、仕事や暮らしの条件への対応は、それぞれ必要かどうか考えます。
BE-ALL.で刺激の強さや姿勢を確認するのも、
ご本人の身体の感じ方を、その都度尊重するためです。
同時に、施術だけですべての生活上の要求が片づくとも考えていません。
何もしなかったのに休まった感じがない、
という別の疑問には、休んだ時間と休めた感覚を分ける記事が役立ちます。
記録より、医療への相談を優先する場面
急な強い症状、症状の持続や悪化、日常生活への大きな支障がある場合は、ストレスの記録や整体で様子を見ると決めず、医療機関へ相談してください。
突然の激しい胸の痛みや急な息切れ・呼吸困難などがあるときは、ためらわず119番通報してください。消防庁の成人向け救急車利用案内に、緊急性の高い症状が示されています。
自分の気持ちを整理できるまで、受診を待つ必要はありません。
二つの欄から、次に確かめることを選ぶ
今日の問いは、次の二つです。
「身体では、何を感じていたか」
「暮らしでは、何を求められていたか」
書けることを一つずつ残したら、すぐに一本の原因で結ばずに眺めてみます。
身体だけで自分全体を判定しない。気持ちだけで身体を説明しない。
二つの欄があることで、身体への対応も、生活上の相談も、必要な方から考えられます。
竹内 愛|整体師・リンパケアセラピスト/BE-ALL.代表
愛知県豊橋市で、身体の感じ方とご本人の暮らしの両方を確認し、提供できるケアの範囲を大切にしています。

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